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ロシアの中東覇権を好むイスラエル

ロシア中東覇権を好むイスラエル
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イスラエルが世界を支配してるのではなく、世界を牛耳っている連中が、
中東を不安定化させるための暴力装置として、イスラエルを使っているという事かな?
しかし、最近のイスラエルは、強力なロシアに媚びる姿勢を見せているようです。
とはいえ、まだ力の強い極右派がイスラエルに巣くっているのが問題ですが。

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ロシアの中東覇権を好むイスラエル

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2018年8月25日   
田中 宇

https://tanakanews.com/180825israel.htm


イスラエルが8月15日、ガザのハマスと、史上初の本格的な停戦・和平の協定を結んだ。イスラエルは、これまで閉鎖されてきたガザとイスラエル、ガザとエジプトの国境を再開し、ガザの住民が前面の地中海で漁業をすることも認める。今後、イスラエルとハマスの間で、5年から10年の長期的な停戦、捕虜囚人の交換、戦死者の遺品の交換が予定され、ガザの港湾と空港の再建・再開、人道支援の再開、外国からの支援金によるインフラ整備の再開が予定されている。これほど包括的・本格的な和平がガザで締結されたのは93年のオスロ合意以来だ。12年と14年に似たような協定が交渉されたが、対立が再燃し履行されなかった。 (Gaza cease-fire, prisoner swap and seaport: Details of Israel-Hamas deal emerge) (Israel offers Gaza a sea passage if border attacks stop)

イスラエルは今回、ずっと敵視してきたハマスと唐突に和解した。なぜなのか。

マスコミはいつものとおり納得できる説明をしていない。
私なりに分析していくしかない。ハマスをめぐる話には、長い前段がある(いつもながら中東情勢は延々と複雑だ)。 (Israel-Hamas cease-fire deal has wide-ranging implications)

イスラエルはこれまでハマスを敵視していた。ハマスは、パレスチナのガザを実効支配するスンニ派イスラム主義の武装政党だ。パレスチナは、ガザとヨルダン川西岸の2地域にわかれており、ガザはハマス、西岸はファタハ(非イスラム的な元左翼の世俗政党)が統治して分裂している。06年のパレスチナ議会選挙でハマスが勝ったのに、ファタハがパレスチナ自治政府(PA)をハマスに明け渡すのを拒否して以来、対立が続いている。今から思うと、パレスチナ内部を分裂させるため、米国が無理やり選挙をやらせた感じだ。それ以来、米イスラエルは、ハマスをイスラム過激派の「テロ組織」として敵視する一方、ファタハが牛耳るPAと和平交渉するも意図的に頓挫させ、中東和平を「やっているふり」をしてきた。 (ハマスを勝たせたアメリカの「故意の失策」)

ハマスは1987年に創設された。当時、米国が、イスラエルの傍らにパレスチナ国家を創設する1948年以来の国連の「2国式」構想を推進すべく、パレスチナ和平(中東和平)の仲裁を開始し、イスラエルに負けてチュニジアに亡命していたファタハのアラファトをパレスチナに連れ戻し、パレスチナ国家の政府の準備段階であるPAを創設させた。米イスラエル上層部(諜報界)の「2国式推進派」(左派など)がアラファトにPAを作らせたのに対抗し、米イスラエル上層部の「2国式反対派」(右派など)は、パレスチナのイスラム主義者たちをけしかけてハマスを作らせた。(パレスチナ国家が創設後、イスラエルを敵視しそうなので2国式に賛成できない、という右派の主張は一理ある) (没原稿:新たな交渉に向かうパレスチナ)

ハマスは「イスラエルとパレスチナが平和共存するのでなく、パレスチナがイスラエルを潰して全部をとる解放戦争が必要だ」と主張して2国式に反対してきた。イスラエルは、自分たちを敵視する機関としてハマスを作らせたイスラエルを潰そうとするイスラム組織が多いほど「米国がイスラエルを守るためにイスラム組織と戦わねばならない。イスラエルに軍事支援せねばならない」という、イスラエルが米軍を衛兵としてタダ働きさせる構図になる。 (Israel-Hamas talks isolate Abbas) (世界に嫌われたいイスラエル)

米国仲裁の2国式の中東和平は93年にオスロ合意としていったん実現したが、その後イスラエルが右傾化してパレスチナ国家の創設に反対して頓挫させた(95年のラビン暗殺など)。右傾化したイスラエルは、イスラム過激派を扇動する策略を引っさげて米国の軍産複合体を加勢して01年の911テロ事件を引き起こし、その後の「テロ戦争」の体制で、米国がイスラエルを守るために中東のイスラム過激派と永久に戦う構図が作られた。 (中東問題「最終解決」の深奥)

しかしテロ戦争の体制は、03年のイラク侵攻後、失敗がひどくなった。ネオコンなど、テロ戦争を(わざと)過激に稚拙に展開する勢力が戦略を立案推進したせいだ。2011年からのシリア内戦は、米国(軍産)がシリアにISアルカイダを送り込んで引き起こしたものだが、内戦でアサド政権が倒されていたら、その後のシリアはリビアに似た長期の無政府状態の内戦になり、再び安定化することが非常に難しくなっていたはずだ。イスラエルと国境を接するシリアの長期混乱は、イスラエルにとって大きな脅威だ。シリアが無政府状態で長期内戦になったまま、米国が金融破綻などによって覇権を失ってイスラエルを支援できなくなると、イスラエルの国家存続が危うくなる。米国が覇権を失うなら、その前にテロ戦争を終結し、中東を安定化しておくことがイスラエルにとって必要になる。 (足抜けを許されないイスラエル)

この点を踏まえた上で、オバマ政権下の2015年以来米国がやっている、シリア内戦の終結とその後の国家再建をロシアに任せる戦略を見ると、これはイスラエルの国益に合致していることがわかる。もしかすると、イスラエルが米国を誘導して、シリアの問題をロシアに任せるようにしたのでないかとすら思えてくる。今夏、シリア内戦がアサド政権の勝ちで終わるやいなや、イスラエル(安保戦略を担当するリーベルマン国防相)が「アサドはイスラエルの敵でない。アサドと交渉しても良い」と言い出し、シリア政府軍が対イスラエル国境(ゴラン高原占領地との国境)に駐留することを容認した。 (Hamas courtship of Russia could lead to win-win romance) (米国に頼れずロシアと組むイスラエル)

ロシアがシリア内戦を終わらせたことは、中東の覇権が米国からロシアに移っていくことを引き起こしている。米国の覇権を放棄してロシアや中国に分け与え、世界の覇権構造を米単独から多極型に転換することは、トランプ政権が目立たないよう全力で進めている戦略でもある。トランプはイラン核協定を離脱し、表向き(濡れ衣に基づく)イラン敵視を強めているが、これは実質的にイランと露中BRICSとEUが米国抜きで仲良くなる「多極化」「中東覇権の放棄」の戦略だ。トランプの米国は、経済難が続くエジプトの面倒を見ることも放棄し、ロシアと中国(安保がロシア、経済が中国)に任せている。 (Russian diplomat, Hamas leader discuss situation in Gaza Strip)

中東の覇権が米国からロシアに移ることは、米国覇権(テロ戦争の体制)にぶらさがって繁栄を維持するイスラエルの戦略にとって大打撃だが、米国のテロ戦争の体制自体が失敗し、中東が不安定なまま米国の覇権が低下するという、イスラエルにとって危険な流れになっている。イスラエルと組んでいた米国の軍産複合体は、テロ戦争と米国の覇権を立て直そうとしてきたが、立て直しの試みは逆に、中東の混乱増加、テロ戦争の濡れ衣的な構造の露呈、米国の信用低下になっている。むしろ米国が中東の覇権をロシアと中国の連合体に移譲し、露中が中東を安定させる道の方が、成功する確率が高い。そのような傾向は、オバマ政権時代から見えていた。当時、リビアもシリアもアフガニスタンも悪化していた。 (中東の覇権国になったロシア)

そう考えると、2016年の大統領選挙で、イスラエルのネタニヤフ首相の盟友である米国のユダヤ人カジノ王のシェルドン・アデルソンが、当初のトランプ敵視を翻して16年春からトランプを強く支持し始め、これがトランプの当選につながったことが、非常に興味深いものに見えてくる。アデルソンや、その周囲の、イスラエルの主流派(親イスラエルのふりをした反イスラエルである極右の入植者たちでない人々)が、トランプを大統領にして、米国が中東覇権をロシアに移譲する流れを加速させたのでないか、という読みが浮上してくる。米国の軍産は、米国覇権の維持をめざすロシア敵視のクリントンを支援した。だがイスラエルは、多極化をめざす親露的なトランプに鞍替えし、その結果トランプ政権が生まれたのでないか。 (トランプ台頭と軍産イスラエル瓦解)

私が「イスラエルがロシアに頼る?」と題する記事を書いたのは14年末のことだ。当時から、イスラエルが米国覇権の退潮や多極化を見据えてロシアに接近する動きがあった。イスラエルとかユダヤと一口に言っても、全く一枚岩でなく、常に隠然と分裂しているのだろうが、イスラエルやユダヤ世界の中にトランプを支持する強い勢力がいたので彼が大統領になったという見立ては有効だと思う。当時から、イスラエル外交の正面を担当していたのがネタニヤフで、裏面を担当していたのがリーベルマンだった。当時は正面が米国で裏面がロシアだったが、その後、ネタニヤフ自身が足しげくプーチンに会いに行くようになり、リーベルマンはカタールやシリア、イランとの関係をこっそり担当している。イスラエルの外交は、正面がロシアで、裏がカタールやシリア(アサド)、イランになっている。 (イスラエルがロシアに頼る?)

▼プーチンのロシアがカタールとエジプトをまとめ、イスラエルとハマスの和解を仲裁した

ガザにおけるイスラエルとハマスの和解についての分析に話を戻す。上記の説明をふまえると、今回のイスラエルとハマスの和解は、背後にロシアがいる可能性が高い(ロシアは今回の件で仲裁役として表に出てきていない)。イスラエルが米国のテロ戦争の体制に取り付いて繁栄しようとする限り、ハマス(やその他のイスラム主義勢力)を敵視し続ける必要があった。対照的にロシアは、できるだけ少ないコストで中東を運営しようとするので、中東での敵対関係をできるだけ減らして安定させることを目指している。ロシアの覇権策に乗るのなら、イスラエルはハマスと和解していく方向になる。 (With Abbas sidelined, Israeli-Palestinian conflict enters new territory)

ハマスがイスラエルと和解しようとする動きは、昨年5-6月にもあった。当時は、カタールの筋と、エジプトの筋が仲裁役として別々に対立して動いた結果、話がまとまらずに流れてしまった。カタールは、昔からムスリム同胞団を支援してきた。ハマスは昨春まで、ムスリム同胞団のパレスチナ支部だったので、カタールから支援を受けてきた。イスラエルに追放されてガザにいられなくなったハマスの幹部の多くがカタールに住んでいた。中東ではトルコも同胞団を支持してきた。カタールはイランとも親しく、カタール、イラン、トルコ、同胞団が、中東政治の一つのまとまりになっている。 (As ringmaster, Russia runs Israel-Iran balancing act in Syria)

加えて、米国の民主党オバマ政権は、2012年の「カイロの春」でムバラク政権が倒れてムスリム同胞団の政権ができることを容認しているほか、核協定の締結によってイランへの敵視を解いており「隠れ親同胞団・隠れ親イラン・隠れ反イスラエル」だ。オバマだけでなく米民主党がすべて同胞団カタール系であるとは言い切れないが、米民主党(もしくはその背後の米諜報界)の中にカタール、イラン、トルコ、同胞団の筋を擁立する傾向がありそうだ。 (イスラム民主主義が始まるエジプト)

昨年5月、ハマスは結党以来の政治要綱を改定(加筆)し、イスラエル敵視を引っ込め、ファタハと和解する姿勢を表明し、同胞団と距離を置くことを宣言した。ハマスは方針転換をカタールで発表した。これは、カタールがハマスに働きかけて従来の強硬姿勢を放棄させ、ハマスとファタハ、ハマスとイスラエル、ハマスとエジプト軍事政権との和解をめざすものだった。ムスリム同胞団はエジプトで力を失っており、ハマスがいつまでも同胞団に拘泥するのは得策でなかった。この新要綱により、ハマスがイスラエルやファタハ、エジプト政府と和解してガザの正当な統治者として認められていく道が開けた。ハマスとファタハの和解は、成就していたらパレスチナ人の10年ぶりの団結になるはずだった。 (How deep is Dahlan involved in Israel-Hamas talks?)

だがその後、この流れを猛烈に邪魔する動きが発生した。サウジアラビアの権力者であるMbS皇太子が6月、カタールをとつぜん仲間内(GCC)から排除して制裁し始めた。MbSはトランプにそそのかされてカタールを制裁したも言われた。カタールが仲裁するハマスの和解策は、中東の永遠の敵対状況を希求するイスラエル右派や米国の軍産にとって猛反対すべきことなので、サウジやトランプを巻き込んでカタール制裁が行われたようだ。トランプは、敵対策を過激に稚拙にやって失敗させて多極化につなげる隠れ多極主義なので、サウジの若気の至り皇太子による過激で稚拙なカタール制裁を推進したと考えられる。ハマスの上層部も、カタール支持のハニヤと、エジプト支持のシンワルが対立してしまい、ハマスの軟化策による和解は不発に終わった。 (カタールを制裁する馬鹿なサウジ)

中東では、カタール、イラン、トルコ、同胞団、(米民主党)の筋と対峙(ときに協力)するかたちで、サウジ、UAE、エジプト軍事政権、イスラエル、(米共和党)の筋がある。昨年5月は、この2つの筋が対決し、カタールが画策したハマスの和解策が潰れた。 (Why is Israel propping up Hamas in Gaza?)

それから1年あまり、今回のハマスとイスラエルの和解は、エジプトの仲裁ということになっている。イスラエルが、エジプトのシシ軍事政権に頼んでハマスとの間を仲裁してもらった感じだ。イスラエルのネタニヤフ首相は、5月に秘密裏にエジプトを訪問していた。それだけでなく、イスラエルのリーベルマン国防相が、6月に秘密裏にカタールの外相とキプロスで会っていた。8月に入っては、イスラエルとハマスの代表がカタールで交渉していた。今回のハマスとイスラエルの和解構想の中で、カタールはハマスに資金を出し、パレスチナ自治政府のガザの役人たちの未払い賃金を払ってやることになっている。エジプトとカタールは昨年、対立してハマスの和解策を潰したが、今年は逆に間接的に協力し合い、ハマスの和解策をうまいこと実現にこぎつけている。 (Netanyahu secretly met Sisi in May to discuss Gaza) (Report: Hamas Accepts Long-Term Gaza Ceasefire Deal)

この成功は、誰の仕業なのか。イスラエル自身がこんなバランスのとれた安定策をやれるようになったのか??。それは考えにくい。イスラエル政界内は、自国にとってプラスになるあらゆる安定策を潰し続ける右派の入植者集団が、まだ非常に強い力を持っている。今回のハマスとの和解も、ネタニヤフの連立政権内の右派の閣僚2人が、声高に反対を表明している。だが、右派は反対を表明するだけで、ハマスとの和解を潰すことまではできない。なぜできないのか。おそらく、今回の和解策の背後に、ネタニヤフやエジプト、カタールよりも強い勢力が、仲介役として座っているからだ。

それは誰か。
ロシアのプーチン以外に、それができる者はいない。
ロシアは今や、カタール・イランと、エジプトの両方から頼られる存在だ。昨年は対立したカタールとエジプトだが、ロシアの仲介があるなら協調できる。今回のイスラエルとハマスの和解は、プーチンの采配に違いない。おそらく、7月中旬の米露首脳会談で、プーチンの采配をトランプが支持している。 (What Israel wants from Qatar) (Trump Is Working on an Israel-Palestine 'Deal of the Century' and Needs Putin's Cooperation)

イスラエルは地理的に、3方向に敵対問題を抱えてきた。南方戦線のガザのハマス、北方戦線のシリアとレバノンのアサドとヒズボラ、東方の西岸のファタハ(PA)との中東和平の3つである。この3つのうち、北方と南方を、すでにプーチンのロシアが解決してやっている。イスラエルはすでに北方戦線において、アサド、ヒズボラ、イランとの間で「冷たい和平」の停戦に入っている。イスラエルは「停戦などしていない。イランを許さない」とわめいているが、これは口だけの目くらましだ。すでに停戦が発効している。そして今回、南方のガザでも停戦が発行した。速いテンポで安定化が進んでいる。プーチンの采配をトランプが支持する米露協調なので、イスラエル右派もそれを潰せない。いずれ、何らかの形で西岸の安定化も発効するだろう。(ヨルダンがカギかも) (Abbas to dissolve Palestinian Authority, revoke recognition of Israel – urges Hamas to join harsh new line) (Israel DM Declares Syria War ‘Effectively Over’)

イスラエルは、米国からの支援金を減らされていく傾向だ。
そのため、イスラエルは7月に基本法を改定して「ユダヤ人だけがイスラエル国民である」と定め、これまで国民として扱ってきたドルーズ派やアラブ系を国民から外し、彼らのところに回っていた財政資金を削減することにした。これまでがんばってイスラエル国家に貢献してきたドルーズ派は馬鹿を見ている。イスラエル政府は、米国からの無償支援が減り、軍事費の急増も余儀なくされている。財政的に余裕がなくなるイスラエルは、軍事行動も減らさざるを得ない。このことも、イスラエルが、ハマスやアサドやヒズボラとの和解を急いでいる背景にある。 (Israel’s ‘loyal’ Druze move into open revolt) (Israel Announces Plans for Massive Military Spending Hikes)





[ 2018/08/26 22:37 ] 未分類・ニュース等 | TB(-) | CM(-)